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行きたい場所に向かうバスを見つけたら、みんなで飛びのるのだ。
薬物をやっているダンという子に話を聞くと、ハイスクールに入りたてのころは、いろんなタイプの友達がいたという。
しかしいつのまにか、自分と同じように酒を飲み、ヤクをやる子とばかり付きあうようになった。 「勉強が好きなやつのことは、無視するようになったんだ」と彼は言う。
思春期の子が愚かで危険な行動に走るのは、自分が死なないと思っているからだとよく言われる。 少なくとも20代のうちは無事に過ごせるという、天下無敵の感覚をもっているのではないか。
だがC大学サンフランシスコ校で心理学を研究するS・Mは、こうした世間の思いこみを否定する。 Mは、ティーンエイジャーのリスク認識に関するはじめての長期調査を終えたところだ。
それによると、若者はかならずしも自分が不死だとは思っていないし、思うにしてもほかの世代と差はない。 彼らが恐れることは山ほどある。
自分が死ぬこと、親が死ぬこと、けがをすること、悪い成績をとること、仲間はずれにされること。 むやみやたらと動きまわり、自分を窮地に追いこむような子はほとんどいないのである。
たしかに、感情が揺さぶられたり、強いストレスを受けている状況では、ほかの選択肢が目に入らないがためにまずい判断を下すこともある。 おとなから見ると、ティーンエイジャーはまずい判断ばかりしているようだが、実際は手持ちの知識と技能を目いっぱい使って考えているのである。
おとなほど上手ではないかもしれないが、ティーンエイジャーだってちゃんと「損益計算」をしているのだ。 ティーンエイジャーとリスクをめぐる議論において、神経科学は長いことお呼びではなかった。
だがその状況が変わろうとしている。
C・Nなどの神経科学者たちは、思春期の子どもの危険な行動について、脳科学がすでに解明のヒントを見つけたと考える。
ティーンエイジャーが窓から抜けだそうか、はたまたヤクをやろうかと判断するとき、脳でおもに使われるのは前頭前野だ。 この場所は警察官のような役目を果たし、場合によっては「よせ!」と制止してくれる。
ところがこれまでの研究で、思春期の脳では前頭前野が十分に発達していないことがわかっている。 つまり「自分の行動がどんな結果を招くかわからない」のだとNは解説する。
ティーンエイジャーの意思決定とリスク判断に照準を定めている科学者に、R・Dがいる。 P大学メディカルセンターで小児科医を務め、また児童精神医学の研究者でもあるDは、同僚とともに長期的な脳スキャン調査を実施している。
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